天使は金の瞳で毒を盛る
関係ないでしょ、と言おうと思ったけど、なんか悔しくて言ってやった。

「別に、デートの約束しただけ。あなたには関係ないけど」

ごめんなさい鬼塚さん。ちょっと盛りました。

「本当に懲りないですよね」

「鬼塚さんは大丈夫だもん!」自分だって仲良くしてる人のくせにそういうこと言うか?「それにあなたに言われたくないわ!」

榛瑠は黙った。それから、ふーんと言った気がした。

と、いきなり顎を左指で持ち上げられた。え?何?

「…んっつ」

抵抗する間も無くキスされる。噛みつくような強引なキス。なんで?!

唇をやっと自由にしてくれた時、彼は言った。

「これで、同罪」

「な、何が!そっちが勝手に…!」

思わず大きな声で言い返す。でも、最後まで言えなかった。その前にまた榛瑠にキスされる。

「…大声出さないの。わかった?」

榛瑠が私のすぐそばで言う。息が近い。暑い。これは誰の熱?

「あ、あなた、いったい何がしたいの?」

息が切れてうまく言えない。なんでこんなことするのよ。

「…さあ?」

榛瑠が首を傾げた。何それ!

「あなたは何をして欲しいです?」

「何のこと…」

「…したいようにしてあげますよ。必要ならそれと分からず」

榛瑠が耳元で囁く。優しく、甘い甘い悪魔のような声で。

「あなたがして欲しいように振舞ってあげます。あなたが傷つくことなく、いつまでも夢をみていられるように」

私は彼に視線を向けた。そこにあったのは、甘い声と、どこまでも冷めきった金色の瞳だった。

冷たい瞳が私を見ている。

この人はもしかして、私を憎んでいるのだろうか?
< 115 / 180 >

この作品をシェア

pagetop