天使は金の瞳で毒を盛る
「タクシー呼ぶか?」
「いえ、迎えを呼んでいますので。そろそろのはずなんですが」
そう言って時計を見ると、一花に掛けていたジャケットを取り上げて着た。
そして、一花に声をかけるが、すぐに起きそうにもなかった。
「どうする?なんなら一花を泊めてもいいぞ?」
「そんなことすると思います?」
「…しないだろうな。でも、家わかるのか?」
「わかりますよ。当然…」
そこまで言って四条は言葉を止めると、小さく笑った。
「人に喋らせるのが上手いですね。さすがトップ営業というべきなのかな」
「人聞き悪いな。俺が計ってるみたいじゃないか」
「私が普段もっと慎重だって話ですけどね。鬼塚さん、一花が懐くだけあるね」
何だよそれ。
「人を犬猫みたいに言ってるけどなあ。俺は別に話せって言ってないぞ?聞いてるだけで」
「なんだ、その理屈」
四条榛瑠が声を出して笑うのを、その時、鬼塚は初めて見た。思ったより年相応に見えて、年下の青年に思えて、つい、言ってしまった。
「いっそ、お前も懐け。そしたらまとめて泊めてやる」
「冗談、絶対イヤですよ。ないだろうが」
そう言って笑う顔はむしろ無邪気で人懐っこくて、鬼塚は一瞬、見入ってしまった。
「…おまえさ、会社で笑わないの正しいわ。仕事が手につかない女子社員が出かねんからな」
「何言ってんだ。結構痛いな、あんた。まあ、俺のことはいいですよ」
俺って言ったぞ、今。だが鬼塚は気づかないふりをする。
四条の笑い声を聞いてなのか、一花が頭を起こした。
「一花、起きた?帰るよ」
「榛瑠?え、いや。榛瑠の車イヤ」
一花がむにゃむにゃ言う。こっちは名前呼びしてるしな、と鬼塚は思う。でもって、以前に嫌がられる事したわけだ。
「いえ、迎えを呼んでいますので。そろそろのはずなんですが」
そう言って時計を見ると、一花に掛けていたジャケットを取り上げて着た。
そして、一花に声をかけるが、すぐに起きそうにもなかった。
「どうする?なんなら一花を泊めてもいいぞ?」
「そんなことすると思います?」
「…しないだろうな。でも、家わかるのか?」
「わかりますよ。当然…」
そこまで言って四条は言葉を止めると、小さく笑った。
「人に喋らせるのが上手いですね。さすがトップ営業というべきなのかな」
「人聞き悪いな。俺が計ってるみたいじゃないか」
「私が普段もっと慎重だって話ですけどね。鬼塚さん、一花が懐くだけあるね」
何だよそれ。
「人を犬猫みたいに言ってるけどなあ。俺は別に話せって言ってないぞ?聞いてるだけで」
「なんだ、その理屈」
四条榛瑠が声を出して笑うのを、その時、鬼塚は初めて見た。思ったより年相応に見えて、年下の青年に思えて、つい、言ってしまった。
「いっそ、お前も懐け。そしたらまとめて泊めてやる」
「冗談、絶対イヤですよ。ないだろうが」
そう言って笑う顔はむしろ無邪気で人懐っこくて、鬼塚は一瞬、見入ってしまった。
「…おまえさ、会社で笑わないの正しいわ。仕事が手につかない女子社員が出かねんからな」
「何言ってんだ。結構痛いな、あんた。まあ、俺のことはいいですよ」
俺って言ったぞ、今。だが鬼塚は気づかないふりをする。
四条の笑い声を聞いてなのか、一花が頭を起こした。
「一花、起きた?帰るよ」
「榛瑠?え、いや。榛瑠の車イヤ」
一花がむにゃむにゃ言う。こっちは名前呼びしてるしな、と鬼塚は思う。でもって、以前に嫌がられる事したわけだ。