天使は金の瞳で毒を盛る
甘くて、崩れ堕ちそうだった。でも、そんな言葉を聞きたいんじゃない。

聞きたい言葉は違う。涙が出てくる。

「一花、答え合わせしよう」

榛瑠が私を抱きしめたまま耳元で囁く。

「なんのこと?」

「いつか言った問題の答え。当てたら教えてあげるよ」

いつかの答え?榛瑠が私を好きかどうか?

そんなのわかんない。当てる前に教えてよ。そういう間にもまたキスされる。

どんどん深く甘くなっていく。

容赦なく、私を夢中にさせる。

もう、耐えられない!私は吐き出すように言った。

「きっと私のこと好きだと思うわ」だって、だって。「榛瑠の大事なお嬢様だもの」

「正解」

優しく榛瑠は微笑むと、私の目元にキスしてぎゅっと抱きしめた。

「愛してるよ、一花」

私も榛瑠をふるえる手で、でも力を込めて抱きしめる。

ああ、帰ってきた。ふいにそう思った。

私のもとに私の悪魔みたいな天使が、帰ってきたの。
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