天使は金の瞳で毒を盛る
なんだ……もう社長でしたか。そうですか。

え?あれ?じゃあ、ますますなんで戻ってきたの??

「いまいち信用ないね。あなたに会うためだけに戻ってきたんですよ。ほかになんだと思ってるんですか?」

そう言って私の頬をつねった。え?待って。え? ドキドキして顔が熱くなる。

え、でも。

混乱する私に彼がキスをする。えっと、えっと。

「榛瑠っていつから私を好きなの?」

「……相手が私だからって遠慮ないですね」

「だって、わかんないんだもん」

「勝手に考えなさい。最近かもよ?」

ますますわかんないじゃない。なんでこの人こんなにわかんないのよ。

榛瑠はちょっと面白くなさそうな顔をしている。そう言うけどさあ。

「だって、わざわざアメリカ支社経由で本社来てって、狙ってるって思うよ。全然、私との関係性知らない会社の人たちだってそう思ってるよ。だから、私だって……」

「狙ってはいるよ。その必要があったからね」

ますますわからないけど。なんか腹たってきた。なんか、ハラタツ。うん。

「わかんないことばっかり言って誤魔化さないでよ。会えて嬉しかったけど、おんなじくらい怒っていたんだからね!」

そういって、気づいた。あ、今もちょっとおこってるんだ、私。

そうよ、怒ってる。あんなふうに、勝手に行っちゃって。榛瑠のくせに。

私は仕返しに彼の頬をつねった。

< 149 / 180 >

この作品をシェア

pagetop