天使は金の瞳で毒を盛る
「すいませ〜ん、四条課長に呼ばれてきたんですけどお」

入ってきたのは、社会人としてどうなの?っと突っ込みたくなるくらいの明るい茶髪の女性だった。私と同じくらいの年に見える。

背は低いけど、すっごくメリハリのある体つきで、おなじ事務服をきてるのに、別物に見える。

「すまないが、ミソノ、鬼塚係長について、営業の調べ物手伝ってくれないか。」

榛瑠が言った。鬼塚さんが口の中で何か言った気がしたけど聞き取れない。

「彼女、あれですよ、四条課長と一緒にアメリカ支社から来たって言う人です。噂では聞いてたけどはじめて見たあ」

篠山さんがこっそり教えてくれる。そういえば、支社から二人来るって聞いたわ。彼女だったんだ。へえ…。

美園さんはちらっとこっちを見ると榛瑠のそばまで行った。

「榛瑠の仕事だと思ったから来たんだよ。他のところならやらない。」

「ミソノ仕事だよ」

榛瑠は画面を見たまま言う。だってえ、と美園さん。四条課長が振り返ってこっちを見る。

「鬼塚さん、彼女有能な人だから役に立つと思う。手伝わせてやって」

鬼塚さんがまたなにか言った。聞き取れなかったけど、嬉しそうには聞こえなかった。

「じゃあさ、ここでやるってのは?パソコン貸してくれればいいし、ね?それならいい?」

「ダメだ。資料もないし。営業行って。」

えー、とミソノさんはまだだだをこねている。

「なんだあれ、大丈夫かよ」

今度は鬼塚さんの声が聞こえた。私は榛瑠が珍しくラフな言葉で喋ってるなと気づく。なんだろ、私も面白くない…。

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