天使は金の瞳で毒を盛る
困惑の懇親会
「おはよう」

「おはようございます…」

本社ビルの前で会社の人に声をかけられ、力なく挨拶する。

月曜日から最悪の気分。ああ…。それもこれも週末の、ていうか、一昨日の土曜日の…。OLに週末って大事…。

「おはよう、どうした、元気ないな」

フロアまで上がった時、後ろから明るいハツラツとした声がした。

「おはようございます、鬼塚係長。朝から元気ですね。」

「当たり前だ。月曜日だぞ。お前こそどうした、ひどい顔してるぞ。」

どんな顔だろう。

「なんか、夢見悪くて…」

「らしくないな」

そう言って、鬼塚さんは私の頭をぐしゃぐしゃした。あーやめてー今日はかまう元気ないのに〜。

「おはようございます」

後ろからまた声をかけられる。低い、聞きなれた声。声の主はいつもの淡々とした表情で、私の隣に立った。

「よお、四条、中国から帰って来たんだな。おつかれ」

鬼塚さんがいう。

「お疲れ様です。…鬼塚さん。それやめた方がいいですよ。」

「あ?何が?」

「頭撫でるのです。クレームきますよ」

「あー、こいつ以外はあんまりやらないよ?ちょうど手の位置がいいんだよな、勅使川原。」

なにそれ…まあ、気にしてないし、いいのですが。

「ま、気をつけるよ。じゃあな、気合入れろよ、一花」

そう言って、私の背中をバンと叩くと鬼塚さんは行ってしまった。

「あの人にも、困ったものですね。」

榛瑠が横でつぶやく。と、角を曲がったところで、ぐいっと腕を引っ張られた。

ちょうどそこにあった給湯室に入り込む。

え?なに?
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