天使は金の瞳で毒を盛る
と、榛瑠がその人を凝視しているのに気がついた。え?なんで?

その人がすれ違いざま榛瑠をちらっと見た。で、前を向いて、また彼を見た。

「あんた、もしかしてハル?」

「やっぱりサトだ。綺麗になっていたから分からなかった」

え?何?知り合い?

「あたしは日々進歩してるわよ!それよりあんた、何してたのよ!とっくに何処かでのたれ死んでるかと思ってたわよ!」

え?榛瑠ってそういうキャラじゃないはずだけど。

「がっかりしましたか?」

「するわよ!当たり前じゃない!何その背広、つっまんないわ!」

サトと呼ばれたその人は明るく言うと、榛瑠に飛びついた。

「げっ」

隣で鬼塚さんが呟いた。私も、もしかして、声に出てたかも。

サトさんは、飛びつくと、榛瑠の唇にキスをしたのだ。

でも、何が驚いたって、彼女が離れた時。

笑わないと言われる四条課長が、すごく楽しそうに、微笑んでいた。


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