天使は金の瞳で毒を盛る
「情けないなあ」

尾崎さんがボソッと言った。佐藤さんが笑う。

「でもさ、一花さん、私たちって不幸じゃないです?」

「え、なに?」

篠山さんの意外な言葉にびっくりする。なんなの?

「だってさ、毎日課長みているお陰で、イケメンのハードル上がっちゃって。ドラマの俳優とか見ても全然ドキドキしなくなっちゃうしさあ」

「別に、そんなことはない、けど…。あれ、課長いて嬉しいって言ってなかったっけ?」

「嬉しいですよ、当然です。でもどうせならもっと近くにいたい〜」

私は力なく笑った。さすが篠山さん。

「篠山さんが俺たちをどう見ながら仕事してるか知りたくないなあ」

佐藤さんが言う。

「それはそれです。そこは比べません。お仕事ですし、ね、一花さん」

ね、っていわれても…。そもそも榛瑠なんか気にしてないし。うん。…たぶん。

「あなたも、ああいう人すきなんだ?」

いきなり尾崎さんが私にふってきた。

「え、私は別に…」

「一花さん本当に変わってるんだから!」

そうは言ったってさあ、ああ、弱るとダメなやつになるとか色々言ってやりたい!…言わないけど。

あれ、なんだろ、今ちょっと言ったらもったいないとか思ったよ、わたし。

話しているうちに会社に着いた。とにかく、仕事です!最近は怒られることも減ったし。午後も頑張らないとね!
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