天使は金の瞳で毒を盛る
榛瑠は飲み物片手に黙って窓際に立って、こちらを見ている。それから、外を見て言った。
「で、あなたのそのひどい顔は外に立っているあの傘のせいですか?」
私は驚いて顔を上げる。まだ、いる?え?榛瑠がなんで?
「うそ…」
「うそです。ここからでは何も見えませんよ」
「ひどい…」
ひどいって、言葉が酷いよ、一花。そう思って、でも、涙が出てきた。今はやめてほしい。いじられるのに耐えられそうにない。
私がどんな顔をしていたか知れないが、榛瑠は軽くため息をついた。
「人の忠告を聞かないから。ほどほどにしなさいって言ったでしょう」
「べつに、何もしてないもん!」
吐き出した言葉は思ったより大きい声で自分で驚く。でも、本当?何もしなかった?
「何もしないのも、した内ですよ。」
「榛瑠は何も知らないんだから黙って」
「まあ、そうですね。でも、あなた単純だから。なんなら当てましょうか?」
「…」
「まず、男に飲み会の後送ってもらう。自分のことを隠すためにここの住所をいう。で、着いたところで思いもよらぬ告白を受ける。で、後ろめたさに泣く。以上。」
…すごく嫌い。
「…言われるのが嫌なら泣き止みなさい。」
言われて、自分が泣き続けているのに気づいた。体がリアルに痛い。心はちゃんと痛みを持ってくる。
「それって傲慢ですよ、お嬢様?」
わかってる。
「あなたが泣いたってどこにも届きません。それは、自分のための涙です。」
わかってる。でも、止まらない。…ごめんなさい。私、嫌な人間だ。
「…しょうがないなあ」
そう言って榛瑠は私に近づくと、横に座って私の頭を抱きかかえた。
「で、あなたのそのひどい顔は外に立っているあの傘のせいですか?」
私は驚いて顔を上げる。まだ、いる?え?榛瑠がなんで?
「うそ…」
「うそです。ここからでは何も見えませんよ」
「ひどい…」
ひどいって、言葉が酷いよ、一花。そう思って、でも、涙が出てきた。今はやめてほしい。いじられるのに耐えられそうにない。
私がどんな顔をしていたか知れないが、榛瑠は軽くため息をついた。
「人の忠告を聞かないから。ほどほどにしなさいって言ったでしょう」
「べつに、何もしてないもん!」
吐き出した言葉は思ったより大きい声で自分で驚く。でも、本当?何もしなかった?
「何もしないのも、した内ですよ。」
「榛瑠は何も知らないんだから黙って」
「まあ、そうですね。でも、あなた単純だから。なんなら当てましょうか?」
「…」
「まず、男に飲み会の後送ってもらう。自分のことを隠すためにここの住所をいう。で、着いたところで思いもよらぬ告白を受ける。で、後ろめたさに泣く。以上。」
…すごく嫌い。
「…言われるのが嫌なら泣き止みなさい。」
言われて、自分が泣き続けているのに気づいた。体がリアルに痛い。心はちゃんと痛みを持ってくる。
「それって傲慢ですよ、お嬢様?」
わかってる。
「あなたが泣いたってどこにも届きません。それは、自分のための涙です。」
わかってる。でも、止まらない。…ごめんなさい。私、嫌な人間だ。
「…しょうがないなあ」
そう言って榛瑠は私に近づくと、横に座って私の頭を抱きかかえた。