天使は金の瞳で毒を盛る

それは、突然とも思えるタイミングでのお誘いだった。

同じ部署の葛城さんに終業後一緒に食事しない?とさそわれたのだ。

「え?」

失礼だけど思わず聞き返しちゃった。だって、彼女と二人で食事するほど親しくないよね?

でも、どうしてもっていうので、なんか釈然としなかったけど、特に用もなかったし行くことにした。

普通にチェーン店のお店でご飯して、話題も差し障りない程度に会社のこととかで、本当によくわからない展開。

何だろうと思いつつ、なんでだか、って、私が断れないせいなんだけど、その後、葛城さんオススメらしいバーにまで行ってしまった。

嫌な話題にはならないし、結構たいしたことのない会社の噂話って楽しいし、良いんだけど。

でも、そろそろかな、って時になって、葛城さんが急に話し出した。

「実は勅使川原さんに聞きたいことがあって。聞いて良いのかわからないんだけど。あのね、あの、課長と付き合ってるとかないよね?」

「は??」

何の話?すっごいいきなりなんですけど。

「この前、お昼休憩の時、見かけたから。課長といるの。仲よさそうだったし…」

「いつですか?それ」

いつか覚えないよ?

「先週だったかな」

私は記憶を探った。昼に榛瑠といることなんてあったかなあ?えっと…。

「あの、それって、鬼塚係長もいませんでしたか?その時ぐらいしか思いつかないんですけど。あの時なら偶然会ってお昼一緒させてもらっただけで…」

「…いらした。そうだよね、勅使川原さん、係長とつきあってるんだよね、良かった」

はい〜?!なにそれ、ちょっと待って。
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