天使は金の瞳で毒を盛る
ほっとして、嬉しかった。

でも、ふと思った。なにかおかしな気がする。

榛瑠が私を離した。彼の顔をじっと見る。こうして見ても普通なんだけど、でもなんか。

「どうしました?今度は何くだらない事思いついたんです?」

そう言って笑いながら私の頬をつねった。

「いひゃいってば」

榛瑠が私を見て笑った。やっぱりおかしい、機嫌がよすぎるというか…。なんというか、そう、私をかまい過ぎる。

今朝方は怒っていた気がしたんだけどな。からかって気晴らししたとか?それはそれでどうかと思うけど。

なんだろう?また熱でもあるのかな?

私は彼の額に手を当てた。でも、別に熱はなさそうだ。

「何なんですか、いったい」

「うーん、なんだろう」

なんだろう、この違和感。なんか変。

前にこんな事なかったか記憶を探る。あったような、なかったような…。

「一花?」

「ねえ、何かさあ…、ねえ、怒らないでね?榛瑠、変じゃない?」

「どこがですか?いつも通りですよ」

なんだろうな、こうやって返事してる時点でいつもよりかまっているわけで。嬉しいのだけれど。

「だって、なんか。具合悪いわけじゃないなら…何かな、もしかすると、メンタル?落ち込んでるとか?…そんなわけないか」

榛瑠が私をじっと見た。どこか驚いているようにも見える。

「あなたは時々、困った事を言いますね」

そう言って座りなおすと、考え込む顔をした。なんだろう。

「ごめんね?あの、違うならいいの。ただ、何かおかしな感じがしただけで…」

「言いたい事はわかりますよ、そうか、そうだな」

はい?
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