天使は金の瞳で毒を盛る
「…すみません、言い訳しました」



「なんで、私に謝るの?」

「あなたを危険にさらした」

…はい?なんですって?

「え?あれ?なに?…もしかして落ち込んでる理由そこ?」

「そうです。他になにかありますか?」

他って、だって。いや、いや、まてまて。

「いや、他にあるんじゃないの?だって、私無事だったし」

「でも、危ない目に合わせた時点で失敗なんです。…取り返しのつかないミスになるところでした」

えーと。彼の考えが全然わからない。

「えーと、さっきも言ったけど、私、なんともないよ?ちょっと苦しかったぐらいで。もう平気だし。優先順位っていう事は他にもなにかあったんじゃないの?そっちはいいの?」

「まったく問題ありません。終わりました。ただ、そちらを後回しにしなかったので、あなたの件で後手に回ったんです」

「なにがあったの?」

「ああ、金曜日の夕方、バングラの工場でロットごと間違えたと連絡が入って」

……。

「なんなの!そっち優先で当たり前でしょう!大体、私は元々は同僚とご飯行くってだけの事だったのよ!」

あんなことになるなんて、わかるわけないじゃない!
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