実話『それでも、アタシは生きる』~消えた記憶~
翼は、
この業界は未経験だった。
入店1か月目のコト
店の新人ミーティングがあった。
アタシ以外の新人は
全員時給を下げられた。
マネージャーが
新人で売上1位をとった
アタシの話を
みんなに話していた。
『セイラってさすごいよね。
どうしてそんなに
指名があるの?
わたし全然ダメで・・・』
「うーーーん。」
翼がアタシにこんな事を
言ってきた。
『ねえ、私に仕事教えて!!!
コツとかさ!私、この仕事でも
がんばりたいんだ!』
自分の戦略を人に
教えるなんて
すごい不利なコト。
自分が抜かされるかも
しれない。
ライバルを一人増やすワケだから。
「いいよ!教えてあげる!
だからめげずに
一緒にがんばろ♪」
アタシはその日から
翼に仕事を教えた。
メールの返し方、
会話や同伴、
相談されたコトに答えた。
翼はモデルだし、
アタシなんかより
全然かわいい。
でも、アタシは翼と一緒に
同じステージで
がんばりたかったんだ。
それで今日まで一緒に
がんばってきた。
翼はアタシを見てココまで
がんばれたと言ってくれた。
アタシはそんな風に
思ってくれてるなんて
知らなかったカラ
翼が反対したのは
意外だった。