突然現れた御曹司は婚約者
その3日後。
仕事を終えた私と寧々は市内で一番広いコンベンションホールがある施設の化粧室に入り、最終的な身支度を整えることにした。
「こんなもんかな」
この日のために新しく買ったフェイスパウダーを肌にぽんぽんと乗せた私に、寧々がポーチの中からグロスを取り出し、塗ってくれる。
「栞は元がいいから、このくらい派手な色を付けた方が映えるし、男ウケすると思うわ。今日のその格好、可愛いし」
「へへ。そうかな?」
オシャレな寧々に褒められるとすごく自信になる。
露出度低めかつ清楚な膝丈の花柄ワンピースを選んでくれたアパレル店員さんに感謝だ。
「でも寧々には敵わないよ」
近くで見れば肌は透き通るように綺麗だし、まつ毛も長くて、目も大きい。
茶色のロングヘアは毛先だけがカールしていて上品だ。
案の定、化粧室から出て、会場内に足を踏み入れれば、美人の寧々に参加男性の視線は釘付け。
「モテるよね、寧々は」
きっと男性からの人気ナンバーワンは彼女のものだろう。
「私のことも見てくれる人いるかな?」
つい不安が口に出る。
でも寧々はそれを一蹴した。
「いるわよ。栞はすごく可愛いもの。でも牧田くんはいいの?」