突然現れた御曹司は婚約者
「それで」


とあっさり話を流せるところも私には出来ないことだからすごいと感心してしまう。


「人数は集まったんですか?」
「なんとかね。ご覧の通り、男性30名、女性30名集まったよ。飛び入りもあったし。だからバランスはバッチリ。あとはカップル成立率を高めるばかり!だからふたりとも頑張ってよ」


ポンと肩を叩かれて気合いを注入された、その直後、会場の入り口付近からのざわつきが耳に飛び込んで来た。


「なんだろう?」


オーナーが騒ぎを聞きつけ、そちらに向かう。

その走る姿を見て「運営も大変ね」と呟いた寧々は、部屋の片隅にある飲み物が置かれているカウンターへと進んで行く。


「あ、もう。待ってよ、寧々」


寧々は自分が興味のないことには見向きもしない。

野次馬根性のある私は騒ぎの原因が気になっているのに。


「見に行って来れば?」
「寧々はそういうとこ、冷たいよね」


どうせなら一緒に見に行ってみる?くらい言ってくれてもいいのに。


「だって喉乾いてたんだもの。それにもうそろそろ開始時間よ。さっさと飲んで早く席に着かないと。えっと私の席はどこだっけ?」

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