突然現れた御曹司は婚約者
両親との思い出を知りたいと思ったことを『そんなこと』って言った?


「ひどい」
「なに言ってるんだ。いいから早く教えろよ。時間がなくなる」


時間なんて関係ない。

あまりに自分勝手な蓮の言動に限界が来た。


「連絡先なんて秘書の方に聞けばいくらでも分かるでしょ」


静かに、でも怒りを含んだ言い方にさすがの蓮も言葉を失った。

それでも怒りの感情は収まらない。

そのまま言葉をぶつけていく。


「なんであなたのような人を両親は婚約者として許したの?なんで私なの?3歳までの間になにがあったっていうの?親はもういないのに公認なんて、そんなの変よっ!」
「ちょっと栞?!どうしたの?少し落ち着こう?ね?」

見兼ねた寧々が私の肩にそっと触れてくれて、背中をさすってくれたおかげでなんとか怒りを鎮めることが出来たけど、蓮と同じ空間にいたくなくて、歓談の時間の前に、一旦、席を外すことにした。
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