突然現れた御曹司は婚約者
「東堂さんのことは意識はしてるの」
なんで私なの、と思わずにはいられないけど、それを凌駕するほど、あからさまに態度に表してくる蓮を意識しないではいられない。
こんな風に積極的に向かってこられたのは初めてだから。
昨日は何度か胸をドキッとさせられた。
それにやっぱり両親の影響は大きい。
東堂蓮という男性をなぜ両親が認めていたのか知りたいと思う。
「そういうことなら牧田くんの方は私に任せて、栞は東堂さんともっと仲良くなるといいわ。まぁ、そんなこと気にするまでもなく、彼の方が積極的に動くだろうけど」
そう言って意味ありげに微笑んだ寧々の視線がテーブルの上に置いてあったスマートフォンに向いていたので、私もそちらに目を向ける。
するとそこには昨日登録したばかりの『東堂蓮』の名前が表示されていた。