私は大人?
通路の階段に立って、上から私を見下ろす男。
右隣からは大きな那緒の声。
「彼女って、紫苑のことやったんや!」
私は否定をしようと口を開く。
「ちが…!」
それを言わせまいと男が口を塞ぐ。
「そうなんです。と言うことで、紫苑、借りていって良いですか?」
この男。
しかも、嬉しそうににっこり笑いやがった。
「もちろん。紫苑、イライラしてたんそのせいやったんや。ノート書いといたるから行ってきぃ。」
那緒の奴裏切りやがった。
口を塞いでいた手を離し、左手に私の荷物を持ち、右手で私の手を握り、入口まで連れていく。
ざわざわしていた教室は静けさに包まれた。