私は大人?
「そっかぁ。地味地味やったからなぁ。卒アル見たらわかるわ。」
「見ません!」
そう言ったら、男がもっと寄ってきて、私の右頬を左手で触れ、右手の親指で私の唇をなぞる。
その姿が自然すぎて、身動き出来ない。
「キスしたろうか?」
耳元で囁く甘い声を聞き、声も出ない。
負けそうで怖い。
「大丈夫やって~!冗談やから!大人ポイのに全然免疫無いなぁ?次会った時に聞くから!クラス。俺の名前は平山篤弘やからな!」
平山篤弘。
私の記憶には刻み付けられていない男の名前。
子どもな私を大人ぽいと称する男の出現こそが、私の中の何かを変えたんだった!