Room sharE
「帰ったのかと……思ったわ」
何とか口に出すと
「君を置いて帰れない」
タナカさんが答える。
あなたは―――何故、そんな風に優しいの―――私は―――あなたのただの隣人よ?
その質問は、口に出ることはなかった。
答えを聞くのが怖い。
私はタナカさんと出会って少女のような気持ちになれたが、同時に少女のように臆病にもなった。
周りを恐れて、大人たちを恐れて
―――嘘を
恐れていた。
「タナカさん
あなたは――――……」