凍り付いた恋心なら、この唇で溶かそう。
「抱いて、お願い」
すがり付くようにしてそのまま龍也の頭を抱え込めば、彼は少し躊躇いがちに私の背中に手を回してきた。
「……俺は、もうお前を抱かない」
抱き合っているから、お互いの表情は見えない。でも、その声は確かに泣きそうなもので、胸が締め付けられて苦しくなる。
「お前が俺を好きになるまでは、抱かない」
初めて身体を重ねたあの夜、彼も思うところがあったらしい。
私は、彼にとんでもなく重たいものを背負わせてしまったのだ。
「……ごめん」
私の小さな謝罪の言葉は、静かな空間の中に虚しく溶けて消えていった。
回された腕の力が少しだけ強くなったのを感じて、私もまたほんの少しだけ腕の力を込めた。