好きだから・・・
香恋のピアノ  ~優也~
あの日から香恋は毎日オレに弁当を作ってくれる。



オレはすごく嬉しいけど・・・



オレは気付いてしまった・・・




多分あれは包丁での傷だと思う。



香恋のきれいな手に新しい傷が日々増えていく。



「香恋、無理して弁当作らなくてもいいからな。」



屋上で香恋の手作り弁当を食べるオレたち。



「無理なんてしてませんよ。」



「じゃあこれはなに?」



香恋の手を握った。



「これは・・・」



「やっぱり、弁当作るときに作った傷なんだろ?」



「違いますよ・・・」



香恋の気持ちはすごく嬉しい。



オレのために毎日早起きしてくれて作ってくれる。



でも、香恋はピアノをやってるんだ。



ピアニストを目指してる香恋の指は命みたいなものだ。



その指をオレのために傷つけないで欲しい・・・



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