好きだから・・・

「賞を貰ったってことは

香恋が一番頑張ったってことにしておけばいい。」



多分香恋は優しいから他のヤツを差し置いて自分が賞を貰ったことを



負い目に感じてるんじゃないんだろうか？



嬉しそうに「はい」とだけ言った。



今日の香恋はいつもより大人っぽく見える。



多分純白のドレスと髪をアップにしているせいだろう。




「水野！」



香恋に見とれていたオレの後ろから誰かが呼んだ。



「あっ！

宮元先生」



宮元？



後ろを向く。



その人は二十代後半しっかりした感じの男性。



ちょっとその男性にヤキモチを妬いてしまった。



「裕也くん♪

こちら私のピアノの先生。

宮元高志(みやもとたかし)先生です。」



丁寧にその男の紹介をしてくれた。