桜の約束
別れと出会いのスピード
春になった。

出会いもあれば別れもある季節。

今の私は今どちらにもなる状況が
目の前で起こっている。

『なにやってんの?』

目の前には、制服が乱れがかった女の子と、
茶髪で片耳ピアス、同じく制服が乱れている男が、
先生から頼まれた時にしか立ち寄ることのない資料室の片隅で
何かしようとしていた。

『・・・亜弥。』

気まずそうにするこの男、永井雅(ながい まさ)。
一応、私の彼氏だ。

『ちょっと平岡さん。
取り込み中なんですけどー。
早く出てってくんない?』

この馬鹿女。人の男ってわかっておって。

学校ではすぐに色んな噂が広まる。
誰と誰が付き合い、そして別れた、
そしてまた誰と誰が、って。

もちろん私と亮も噂に流れたから
知らない人はほぼいない。

この女も女だが、亮も問題がある。

『亮。今後のことで話そっか。』

『え・・・。』

亮の顔が引きつった。

それは私が言った言葉と私の顔を見て、だ。

亮は大人しく黙ったまま、私のあとに続いた。

『ちょ!待ってよ亮!』

置いてかれる女。
後ろを見たが、亮は振り向きもせず
私のあとに続いていた。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop