Sweet break Ⅱ

だから、ひとしきり笑い終えた関君に、ありったけの勇気を出して、スッと手を差し出した。

『ん?…何だ?』
『…握手』
『は?』
『今日からよろしく、の握手しよう』

前に読んだ誰かのエッセイに、書いてあって交際の証。

お付き合いを始める時に、まるで解けない契約を結ぶみたいに儀式めいてて、ほんの少し憧れてた。

関君は呆れながらも、組んでた腕を解き、徐に手を差し伸べてくれた。

私の小さな手に、一回り以上大きな手が触れる。

冷たいと思っていた関君の手は、思っていたよりずっと温かかった。

関君と私。
ただの”同僚”だった関係が、動き出す。

そう思うと、ぎゅと握られた手から、愛しい感情が流れ込むようで、なんだか恥ずかしい。

『何か、照れるね』

急に羞恥心に駆られ、直ぐに手を放そうとすると、関君の握る力が一瞬強くなり、解こうとしても解けない。
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