Sweet break Ⅱ

いつも通り、目も合わさず、冷たい声で業務的な挨拶だけを交わす。

ほんの少し泣きたくなった。

別に、チョコのお返しが欲しかったわけじゃない。

…ただ、心のどこかで、もしかしたら今日、何かがあるのかもしれないと…と、勝手に期待していた自分がいた。

バカみたい…そんなこと、ある訳ないのに。

がっくりと肩を落とし、帰り支度をするために自席に戻ると、折りたたんだ自分のパソコンの上に、ちょこんと置いてある長方形の可愛らしい箱。

”…誰?”

手に取ろうとして、瞬時に固まった。

その箱の下に挟んである、走り書きのメモ。

それは課内で使用している伝言メモ用紙で、そこに書かれた文字は、仕事上毎日見慣れている特徴のある字。

【 いらなきゃ捨てろ 】

…気付いたら、執務室を飛び出し、全速力で廊下を走りだしていた。

”これって、これって、これって!”

『関君!』

社員用の玄関口の手前通路で、やっと追いついた。
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