Sweet break Ⅱ

『倉沢』

感情を押し殺した関君の声が、広い会議室に響く。

『お前…俺のこと避けてただろ?』
『避ける?』
『先月の今日、俺がお前から、なかば強引にチョコもらってから』

関君が、腕を組んだまま、淡々と話すことに、”そんなこと無い…”と否定しようとして、ハタと思い留まる。

あの日…2月14日。

チョコを渡してから、関君に誘われて、初めて二人で行ったレストラン。

バカみたいに緊張して、まともな会話もできず、翌日以降も、仕事以外で話しかけられる会話から、ことごとく逃げまくっていたかもしれない。

『…避けてた…かも』
『かも?』
『いえ…避けてました…』

関君の執拗な問いかけに、正直に陥落するしかない。

目の前では、大げさに溜息を吐きながら眉間にしわを寄せ『俺がどんな気で…』と、吐き捨てるような独り言。

関君のさらなる尋問が私を追い詰める。
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop