彩―IRODORI―
あたしは、部屋で不思議な気持ちを抱えたまま、どうすることもできなかった。
きっと、これは失恋だった。
カズヤ先生はあたしの気持ちには気付いていた。
はっきりと断られたわけじゃないけど、多分、そういうことだ。

失恋の痛み。

でも、思ったほど辛くなかった。
それなら、コウキとの別れの方がよっぽど堪えた。

でも、先生。
どうして、はっきり断らなかったの?
あたしの思ったとおりだと、信じてもいいですか?

そうだとしたら、恋愛って難しい。

好き合っていても、叶わない恋もあるんだってことなんだね。
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