彩―IRODORI―
とりあえず濡れた服を脱いだコウキは、服を乾かしている間、バスローブに着替えてもらった。

あたしはすぐにシャワーを浴びてコウキと交代しなくちゃ。

体にかかるお湯がすごく気持ちいい。
冷え切った体には、天からの恵みみたいだった。

手早くローブに着替えてバスルームから出ると、コウキはベッドの上でごろんと横になっていた。

「お先に。コウキも入っちゃいなよ。気持ちいいよ」

コウキは全く動かない。

「コウキ? シャワー、気持ちいいよ」

あたしはもう一度言ったけど、やっぱり動かない。

まさか、さっきの雨で体調が悪くなったんだろうか。
そう思って、あたしは心配でコウキの顔を覗き込もうとした。

「アヤ」

コウキは閉じていた目をぱっちりと開け、あたしの肩をつかんだ。
そしてあたしの体をベッドに寝かせ、コウキは上から覆いかぶさった。

「偶然の雨だけど、オレ、もう我慢出来ない…」

コウキは、あたしにいつもと違うキスをした。
< 21 / 123 >

この作品をシェア

pagetop