彩―IRODORI―
次の日、あたしはガクガクしながら歩いていた。
チャコはびっくりして、

「保健室か病院行ったら?」

なんて心配してくれる。
クラスメートも同じことを言ってくれた。
だけど、ひとり、そっと、

「昨日、ヤッたんでしょ」

って耳打ちした。
あたしは顔を真赤にして頷いた。

「あんまり激しくしない方がいいよ。次の日辛くなるのは、女の方なんだから」

女の方…

そう言われて、あたしは女になったんだとはっきり自覚した。
忠告はありがたく聞こう。

「ありがと」

あたしが言うと、その子は笑って「お幸せに」と言った。

ちょっと色気のある、ほかのクラスメートと違う雰囲気のその子は、周りにレイカって呼ばれていた。
化粧が濃いわけじゃない。
でも、グロスをいつもつやつやに塗っていて、よくしゃべるわけじゃないのに、目立っていた。
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