彩―IRODORI―
コウキでない男のコと、こんなにもたくさんしゃべったのは初めてだったと思う。
そのときに、ふっと思っちゃったことがあった。

あたしは、コウキと付き合ってるけど、コウキ以外の男のコのことを、よく知らないんだ―――。

もしかしたら、コウキ以外にもっと相性のいいコもいるかもしれない。
そんなことを考えたら、あたしは急に土井くんに心が惹かれていくのを感じていた。

急に心臓がバクバクと動き出す。

「じゃ、じゃあさ」

いまさら、あたしは初めて言うわけじゃないのに、初めてみたいに緊張しながら言った。

「あたしと、してみない?」
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