彩―IRODORI―
あたしたちは、誰にも内緒で付き合い始めた。
あたしたちの周りで、カップルになった人はいなかったから。
絶対にからかわれるし、いろんな噂をされる。
だから、あたしたちみたいに内緒で付き合ってた人はいたと思う。

学校でも、あたしとコウキは変わらず友達のようだった。
最初はお互い目を逸らしていたけど。
だんだん、学校で話せないのが辛くなって、いつもどおり友達みたいに話していた。
幼なじみだったからか、あたしたちが一緒にいても、誰も何も思わなかったみたい。

だけど、あたしの気持ちはどんどん膨らんでいった。
コウキと一緒に帰るには、あたしが放送部の当番で、コウキも部室の掃除の当番のときぐらい。
朝は、コウキが朝練があるからって先に登校してしまう。

時々、コウキから電話がかかってきた。
あたしも電話した。
大体、今日の報告ばっかりだったけど、それでもコウキの声が聞けるのは嬉しかった。
あたしのことを気にしてくれてるって、分かるから。
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