彩―IRODORI―
「どう? そっちの教育実習のセンセ」
「んー、いい感じ。めっちゃ優しいよ」

日曜の朝、ユウジとのデート。
そういえばデートらしいデートなんて初めてだ。

こうして、アイスクリーム食べながら話してると、本当に普通のありふれたカップルにしか見えないんだろうな。
ありふれたカップルなんだけど。

「やっぱり? オレも実はこの前、バスケ部に来てさ、エチゴセンセ。いやぁ、あの人いいね~。一緒にコート磨きもしてくれたし、準備運動もしてさ、そんでマッサージもしてくれて」
「ええっ、マッサージまで!?」

やりすぎなんじゃ…と思ったけど、黙っておいた。
うーん、いくら先生がいい人だって言っても、マッサージをするのはいくらなんでも、と思った。
もしかして先生は尽くすタイプなのかしらん?

「別にやってくれって頼んだんじゃないよ。ホレ、筋肉って疲労すると乳酸溜まって足やら腕やらも上げらんなくなるんだ。そのマッサージ」
「ああ、なるほど」

そういうのってマネージャーがするんじゃ…と思ったけど、突っ込まないでおこう。
というより、マネージャーですらやるんだろうか、マッサージ。
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