契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
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それでも、栞は姉に会うのをどうしても諦めきれなかった。

なんとしても神宮寺から「外出許可」を勝ち取るために、文字どおりカラダを使って積極的に(・・・・)がんばった。
栞が「別件」で計画プランを練っていた「たっくんをいつまでもつなぎ留める作戦」も功を奏した。

その「行為」自体はかなり神宮寺を悦ばせたはずなのに……それでも彼は決して首を縦には下さなかった。

そして……とうとう「その日」になってしまった。


栞は朝から時計ばかり見ていた。

父親と姉とは、夕方に神戸の異人館にある老舗ホテルで会う約束をしている。
明治の初めに開業され、神戸だけでなく日本の中でも最古の西洋式ホテルと言われる、最高級のホテルだ。

昼過ぎになって、その地までの行程をシュミレーションする。
万全を期すためにも、実行する前に「イメトレ」するのは得意な方だ。

……まず、(アワア)で近鉄高◯原駅へ行って……橿原神宮前方面行きで西◯寺駅まで行ったら、阪神電車に乗り入れしてる急行で尼◯(アマ)駅まで行って……そこから三宮行きの特急に乗り換えて……うわっ、そしたらもう、そろそろここを出やな、時間的にヤバいやーんっ。

もう……泣きそうだった。

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