契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
『えっ、い、いいのか?』
こころなしか、上擦った声が聞こえてきた。
先刻の男の人の声だ。
……今、おねえちゃん、
確か……『智史』って言わはったやんな?
「……えっ、うそっ……『智史』って、もしかして……なぁ、なんで、そこにいたはるん?」
今度は栞の声が上擦る番だった。
「……ほっ、本当に話すのん?
……こっ、心の準備がっ……」
しかし、彼の「声」がスマホの向こうから聞こえてきた。
『……も、もしもし……』