契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
Chapter5
✿指輪✿
しのぶから、「本田 拓真と八木 栞」の婚姻届が無事受理されたことを告げるラインが入った。
……うわぁ、まーったく実感湧かへんけど、あたし、たっくんの奥さんになってんわぁ。
「……『本田 栞』になったんだな。
改めて、よろしく……おれの奥さん」
神宮寺の方は実感が湧きまくっているのだろう。栞をぎゅううぅーっと抱きしめた。
なんだか、そのまま「寝室」へ連れ込みそうな勢いである。
「だ、ダメですっ!……『家計』のために、がんばってお仕事してくださいっ!」
栞は心を「鬼嫁」にして、神宮寺の腕の中から脱出した。とたんに、彼の顔が拗ねたような不機嫌な顔になる。
「もし、あたしとのことがバレてしもうたときに、世間から『作家・神宮寺 タケルは結婚してダメになった』って言われたないんです」
それでなくても、GW中はサボりにサボっているのだ。この「進捗状況」では、近々しのぶからどえらい雷を落とされることであろう。
「あたしも、たっくんの新しい『代表作』を楽しみに待ってますから」
……もしかしたら、それがあたしたちの結婚の「契約満了」のときかもしれへんけれども。
しのぶによると「通常夫婦間で行われる性交およびこれに準じる行為等」を含む新しい契約書は今、進藤弁護士によって練られているそうだ。(彼女はかなりご立腹らしいが。)