契約結婚はつたない恋の約束⁉︎

「『父』は研究職の激務であるという背景が多分にあるんでしょうけれど、少なくともあれからずっと母と一緒に暮らしているらしいということから、自分の生活をサポートしてくれるタイプの(ひと)がいいんでしょうね。
……失礼ですけれども、家庭を顧みないバリキャリのあなたとは『真逆』ですよね?」

何の配慮もない豪速球の直球(ストレート)がやってきた。
登茂子は声も出なかった。

「あなたたちがどういう経緯(いきさつ)で結婚したか、って結構重要な要素(ファクター)やと思うんですよ。
うーん、ミスマッチなんてどうでもよくなるほど、若さゆえの熱烈な恋愛の果ての結婚、っていうのもありえますが、それよりも一番可能性としてありそうなのが……同じ若さゆえでも……たとえば、『デキちゃった』とか?」

登茂子の顔から、さーっと血の気が引いた。


……うわっ、ヤバい。図星やった。

栞はやっと「攻めすぎ」に気がついた。

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