契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
……うっ、たっくん、やっぱしかわいすぎる。
栞の心臓をぶち抜く垂れ気味の目だ。
「たっくん、そんな顔しやんといて。
あ……今度はちょっと説明不足やったですね」
つながれている方の神宮寺の手の甲を、栞はつながれていない方の手で、ぽんぽん、とした。
「熱烈に愛し合っていようが、または友達のようなパートナーシップであろうが、つながり方の形は夫婦それぞれやと思います。
せやけど、もしお互いの気持ちが通い合っていないのであれば、婚姻届なんてただの『紙切れ』で、国から法的な権利関係が保障されるためだけの単なる『契約書』でしかありません」
栞は、神宮寺と登茂子をじっと見据えた。
「それに、たとえ今はどんなに心が通い合ってたとしても安心はできません。
どんな夫婦でも、いつお互いがイヤになって心が離れて『紙切れ』や『契約書』なってしまうかしれへんからです。
そうなったら、今度は『離婚届』を提出することでいつでもその婚姻関係を破棄することができる……脆くて拙い『約束』なんです」