契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
「あたしっ、そんな魅力ありませんからっ!」
栞が自信たっぷりに断言した。
神宮寺としのぶが一斉に栞の顔を見る。
「あたし、今まで男の人にそんなふうに思われたことないんです」
彼らの顔が「はぁ⁉︎」と素っ頓狂になる。
「こんなイケてないあたしを、芸能人のような美しい人たちばかりを相手にされてきた先生がどうこうするなんて、絶対に考えられません。
それに、わたしは先生より五つも歳上ですし、じゅうぶん『オバサン』だと思います」
「……あなたの歳で『オバサン』だったら、わたしはどうなるのよ?って言いたいところだけど」
二十七歳の栞の言葉に脱力しかかった三十二歳のしのぶだが、
「えっ、ウソだろっ⁉︎
あんた、もしかして……その歳で処女⁉︎」
という神宮寺の叫び声で、
「せっ、先生っ!なんてことを……っ⁉︎」
血管がブチ切れそうなほど、青筋を立てる方に気を回さねばならなくなった。
だが、神宮寺の次の言葉を聞くと、今度は立てた青筋を早急に元に戻さねばならなくなる。