契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
一通り拭き掃除を終えた栞は、神戸のポートアイランドにあるイケアで買った真っ赤なエプロンからスマホを取り出した。
ポーアイのイケアへは、結花から『「新婚家庭」で必要なものを揃えるために、どうしても一緒に来てほしい』と請われたため、一日だけ付き合ったのだ。
栞はLINEのアプリをタップすると、トークルームの【稍】をタップし、そして最後に【無料通話】をタップした。
木琴の音色をイメージした呼び出し音のあとに、ピッと音が鳴って、姉の声が聞こえてきた。
『……もしもし、栞?』