契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
「あんなぁ……再婚する相手がなぁ……結花やねん」
という栞の言葉に、
『……は?』
スマホの向こうで姉が固まるのがわかった。
結花が栞の小学生の頃からの親友だということは、もちろん姉も知っている。
そして、さらに衝撃的なことを告げねばならなかった。
「結花のお腹の中には……赤ちゃんがおんねん」
『な…なにやってんねやぁ……ええ歳してぇ。
……自分の娘と同し歳の子に手ぇ出してぇ』
姉の声は、呆れ果てた末のつぶやきになっていた。
『なぁ、結花ちゃんの親御さんは、なんて言うてはるの?』
しばらくの沈黙のあと、姉から尋ねられた。
「特におっちゃんがめっちゃ怒らはった。
「子どもなんか堕ろしてしまえ」って言われたって、結花は家出して、泣きながらうちにやってきてん」