契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
「……腹、減った」
二階から降りてきた神宮寺が、疲れ果てた声で言った。彼は自分の気が向いた時間に階下に降りてくる。
だから、食事する時間もかなり不規則な生活の下に組み込まれている。とりあえず、すぐに食べてもらえるおにぎりやサンドウィッチなどは「常備」するようにしていた。
「あ……はいっ」
栞は弾かれたように返事する。
あわててスマホをエプロンのポケットに入れた。
しのぶはもうここにはいない。
栞が身の回りの荷物とともに「移住」すると、入れ違いに東京へ戻って行った。
もしかしたら、その前に夫の佐久間が単身赴任する京都市内に「寄り道」しているかもしれないが。
……さぁ、「お仕事」やわ。