契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
Chapter2
✿風雲✿
神宮寺が一日のほとんどを二階の書斎に篭って執筆活動をしているため、栞は逆に一日のほとんどを一回のリビング奥のダイニングキッチンで過ごすようになった。
やがて、もともとそれほどそう広くない別荘地のログハウスのハウスキーピングに慣れてくると、次第に時間を持て余すようになってきた。
そこで、週二回ほど京都市内にある予備校のチューターのバイトを復活することにした。
「先生もあたしが時々外出した方がリラックスできる時間になると思いますし、わたしは帰りに高◯原駅にあるイ◯ンに寄って先生の食料や日用品の買い出しもできますから、一石二鳥のプランだと思いませんか?」
そう栞が「提案」すると、
「……勝手にしろ」
と、神宮寺は本当に興味のなさそうな声で、しかも欠伸をしながら「了承」してくれた。
栞は、こんな昼日中にそんなにも眠たくなるということは、
「執筆活動が滞りなく進んでいる証拠だ」
と、物事を前向きに捉えることにした。