契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
ダイニングテーブルと同じチーク材に覆われた、シンプルで機能的なシステムキッチンのシンクの前に立って、栞はカフェオレの準備をする。
神宮寺は当初、ミルクも砂糖も入れないブラック派だと言っていた。
ところが、栞が自分用にに淹れたカフェオレを、まるでジャイアンのごとく横取りして飲んで以来(決して口に出しては言わないが)気に入ったらしく、すっかりカフェオレ党に入党した。
うっかりミルクを切らしてブラックになってしまった日には、ものすごく不機嫌な顔になる。
栞が淹れたカフェオレは、砂糖も甘味料も入っていないはずなのに、驚くほど甘い。
その淹れ方は、姉から教わった。