契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
「この婚姻契約は締結されていないから、発効すらしていないぞ」
神宮寺は平然と言い放った。
「まだお互い署名してないだろ?それに、婚姻届も役所に受理されてないしさ。
だったら……『既成事実』を作って契約内容を変更させるのなら、今のうちっていうことだな」
しのぶからは、申請している戸籍謄本が届くまでに契約内容をしっかりと確認し、もし合意できるようであれば署名するように言われていた。
「まぁ、別にそんなことしなくても、この契約内容だと、『甲』から『乙』へはダメでも『乙』から『甲』への『要求』なら問題ないみたいだけどな」
つまり、神宮寺からの『通常夫婦間で行われる性交およびこれに準じる行為等』は契約違反だが、逆に栞からについてはなにも記載されていないということだ。
……そんなん、ありえへんし。
「ふうん……そんなの、ありえねぇって顔してるな」
神宮寺が腕を組んで不敵に笑う。