契約結婚はつたない恋の約束⁉︎

神宮寺がボストン型の眼鏡を外して、ベッドサイドに置いた。
バッファローホーンフレーム越しではない、アーモンド型のくっきり二重の瞳が栞を見下ろす。

……大きくて綺麗な目ぇしたはるなぁ。
本当(ほんま)に顔が(ちい)そうて芸能人みたいやわぁ。

栞はなんだかこんなカッコいい(ひと)が、自分ごときのカラダで満足できるとは、到底思えなくなってきた。

「栞、先に言っておく。
おれ、処女を抱くのは初めてなんだ。
だから、そんなにやさしくしてやれないかもしれない……まぁ、『善処』はするけどな?」

……あぁ、だから、『処女を相手にするなんて、めんどくせぇな』って言うたはったんや。

「たっくん……すいません……こんな……『めんどくさい処女』で……」

目が伏しがちになり、自然と語尾が小さくなる。

すると、チッ、と舌打ちが聞こえてきた。
びっくりして栞が目を上げると、神宮寺がいつもの不機嫌そうな顔になっていた。

……いや、どことなく、拗ねているようにも見えた。

「なに?まさか、そんな心配してんの?
……栞、ムカつくくらい余裕じゃね?」

次の瞬間、噛みつかれそうなくらいのキスが降ってきた。

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