契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
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思いの(ほか)、眠りは深かったらしい。
栞は寝過ごしたと思って、跳ねるように起き上がろうとしたところ、ふんわりと抱き止められた。

……神宮寺だった。

起き抜けで少しヒゲが伸びているが、そこが却って「あぁ、男なんだなぁ」とワイルドに感じられて、やっぱり惚れ惚れするほどカッコよかった。

「まだ起きる時間じゃない。もう少し寝ていろ。
……身体(からだ)は大丈夫か?」

胎内(なか)の奥にじんじんと疼くような痛みがあった。それに、空洞のはずなのになにか入っているみたいな感覚も。

昨夜、破瓜(はか)を遂げた(あかし)だった。

「だ…大丈夫です」

栞の声は()れていた。
神宮寺から荒れ狂ったように抱かれたときに発した、嬌声のせいだった。

「初めてなのに悪かった。すっげぇ痛かっただろ?……途中からはまったく手加減できずに、ちっともやさしくしてやれなかった」

そう言って、神宮寺は栞をふんわり抱きしめていた腕に、きゅっ、と力を込めた。

「いえ……あの……」

栞は神宮寺の腕の中から、彼をおずおずと見上げた。

「こんなあたしで……お気に召さはりましたか?」

めんどくさい処女の自分を相手にして、数々の浮名を流した神宮寺が到底満足できるとは思えなかったから、そう尋ねた。

「……はぁ?」

神宮寺が間の抜けた顔になった。

……こいつ、本気で言ってんのか⁉︎
昨日一晩で軽く一箱使い切ったんだぞっ⁉︎

「いや……本気だろうな」

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