契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
「……あたしが生まれてきたことで、あたしの周囲のだれもが不幸な思いをしたはるんです。
姉にも、子どもの頃からあたしのせいで寂しゅうて辛い思いをさせてしまいました。
……去年、ようやく両親が離婚した際には、血の通わへんあたしが父方の姓をこのまま名乗るわけにはいかへんのを慮って、自分も母方の姓を選んでくれはりました」
栞は生気なく項垂れた。
「あたしが、この世に生まれてきてしもうたばっかりに……」