初恋の桜
〜昼休み〜
「塁。 俺、ヘンじゃないか?」
「塁。 俺、歯になんか付いてないか?」
「塁。 俺、臭くないか?」
「塁。 俺… 」
「だぁぁ!! さっきからうっさい! 陽太!!」
「だって… 」
「お前はいつも通り今日もイケメンだ!! うじってんじゃねぇよ!!」
「お、おう。 ありがとう。」
そんなアホなやり取りをしているうちに、2年6組についてしまった。
「ほら、行け。」
塁に背中を押され、声を出す。
「すみません、さっ… 夕暮先輩、いらっしゃいますか?」
途端、教室中がわく。
『あ、アイツ、あん時のやつじゃん!』
『さ…夕暮先輩いらっしゃいますか?だって!かっわいぃ〜!』
『あ、入学当初騒がれてたイケメン2人じゃん!ねぇ夕暮さんやめて私にしなよ!!』
お、おう…
見事にうっせぇ…
そんな中…
「いるよ。」
声をかけてきたのは、あの時教室で桜先輩の頭を撫でていた人だ。
「海野 藍。 桜の友人。 こっち来て。」
単語で喋る海野先輩はクール系でものすごい美人だった。
この人が塁が言ってた噂の美人…
他の先輩方の視線に耐えながら海野先輩に付いていく。
「桜。 朝霧くん。」
「えっ あっ 朝霧くん!?」
「 …こんちは、先輩。 メシ、一緒していいすか?」
「えっあ、いっいいよ!」
よっしゃ。
「えっと、そちらは…」
ちらりと塁を見る桜先輩。
「あ、こんちは。 俺、陽太の幼馴染の石原 塁です。 よろしくお願いします。」
「あぅ、よろしく…」
相変わらずざわざわとうるさい周り。
『あの美形コンビが男子と喋ってるぞ…!』
『羨ましい…!』
『え〜! あの1年の男子2人、入学当初からロックオンしてたのにぃ〜!』
「場所、移動しようか… 」
桜先輩の提案で、中庭で食べることになった。