壊れそうなほど胸が苦しくて
田中課長から受け取った紙を見てみると・・・
「・・・い、生け花体験教室?」
「いやぁ、今日営業部の連中に頼まれてニシダ製作所まで一緒について行ったんだけど、
そこの西田社長からこれ渡されてさ。
なんでも馴染みのキャバ嬢と行く予定だったらしいんだけど、
その子がインフルエンザにかかったから行けなくなったらしくって。」
参加券と書いてあるその紙に載っている日付を見ると、今週末・・・つまり明日だ。
まさに急だな・・。
「っていうかなんで課長が貰っちゃうんですか。営業部の連中に任せれば良いのに。」
「しょうがないだろ。
今日一緒に言った連中はみんな独身だし、
うちは息子3人だし。
生け花教室に興味ありそうな人物と言えば、
娘が1人いる虎ちゃんがうってつけだと思ったワケ。」
「うちの娘、興味あるかなぁ・・。」
「なんでも講師の先生は結構有名な人みたいだぞ。
それにすげーイケメンらしい。
“体験教室を開催しようものならすぐ定員いっぱいになるレアなチケットだ”って西田社長が力説してた。」
「イケメンなら娘も興味出るかも知れないな・・・。分かりました。
じゃあ俺が貰います。」
「助かった!多分来週もニシダ製作所に行くことになるから、どんな感じだったかまた聞かせてくれな。」
「了解です。」
渡されたチケットをカバンに入れると会社を出た。